【徹底解説】社交ダンスの10種類とは?初心者向けの種類もご紹介
社交ダンスと一口に言っても中には様々な種類のダンスがあります。
そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。
- 社交ダンスは大きく分けて2種類
- スタンダードとラテンをより細分化すると10種類に分かれる
- 最近は踊られることが少ない4種類の社交ダンス種目もある
- 初心者におすすめな社交ダンスの種類
この記事を読むことで、社交ダンスのさまざまな種類・種目について理解できます。ぜひ最後までご覧ください。
1.社交ダンスは大きく分けて2種類
社交ダンスは「スタンダード」と「ラテン」の2種類に大きく分かれています。
スタンダードとラテンではダンサーの衣装も異なります。
1-1.社交ダンスのスタンダードの種類
スタンダードの5種目は ワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイックステップ、ヴェニーズワルツ となります。
「スタンダード」は「ボールルーム」と呼ばれることも多くあります。
これらのダンスの特徴は、男性と女性が向かい合って、お互いの身体の前面を接したまま組んで踊るところにあります。
おそらく社交ダンスと聞いた一般の方が真っ先に思い浮かべるのは、スタンダードのイメージかと思います。
競技ダンスではスタンダード用のドレス1着で5種目をすべて踊りますが、パーティーのデモンストレーションなどではワルツ1曲を踊るために、ワルツ用のドレスを探すなど、種目ごとに踊る曲やイメージにあわせて衣装を探す方も多くいらっしゃいます。
1-2.社交ダンスのラテンの種類
ラテンの5種目は ルンバ、チャチャチャ、サンバ、パソドブレ、ジャイブ となっています。
ラテンアメリカン、あるいはサウスアメリカンダンスと呼ばれることもあります。
これらのダンスでは男女が身体を接する場合もありますが、お互いの手は取り合っていても身体は離れて立って踊ることの多いダンスです。
競技ダンスではラテンドレス1着で5種目すべてを踊りますが、パーティーのデモンストレーションなどではルンバ1曲を踊るためにルンバ用のドレスを探すなど、種目ごとに踊る曲やイメージにあわせて衣装を探す方が多くいらっしゃいます。
2.社交ダンスをより細分化すると10種類に分かれる
現在、社交ダンスとして踊られている種目はスタンダード(ボールルーム)が5種目、ラテンが5種目で合計10種目となります。
社交ダンスのプロダンサーはスタンダードかラテンのどちらか一方を専門にしている選手が多いのですが、「10(テン)ダンス選手権」といった名称で大きな競技会も開催されており、スタンダードとラテンの全10種目を踊って競い合う競技もあるくらい、社交ダンスは全10種目というのが現在の常識です。
2-1.社交ダンスでスタンダードに分類される5種類
ここではスタンダードの5種目をそれぞれご紹介します。
競技では5種目すべてを1着のスタンダードドレスで踊るのが一般的ですが、パーティーのデモンストレーションでは種目に合わせたドレスをレンタルする方も多い世界ですので、それぞれの種目におすすめの衣装もあわせてご紹介してみます。
正式には男性(リーダー)は燕尾服、女性(パートナー)は丈の長いイブニングドレスで踊ります。ヨーロッパの宮廷舞踏会といったイメージです。
なお、スタンダード種目にあわせたドレス選びについてはこちらの記事をご参照ください。
2-1-1. ワルツ
ワルツはゆったりとした3拍子の音楽で踊ります。別名「スローワルツ」と呼ばれることもあります。
テンポの速いヴェニーズワルツ(ウィンナーワルツ)がアメリカに伝わった際、それまでのアップテンポからスローテンポへと曲が変貌し、それに伴ってステップも変化して「ボストンワルツ」となりました。現在の社交ダンスで「ワルツ」と呼ばれるものはアメリカ生まれの「ボストンワルツ」ということになります。
日本で社交ダンスを習う方は圧倒的にワルツから入る方が多いと思いますし、社交ダンスの花形種目と言っても過言ではないと思います。
ワルツ用のドレスは、白やベビーピンク、アイスブルーなど淡い色を選ばれる方が多いです。
2-1-2. タンゴ
タンゴはいわゆる「コンチネンタルタンゴ」で歯切れが良く、強く軽快な4拍子の音楽で踊ります。
もともとタンゴはスペイン南部に伝わる音楽形態でしたが、それが南米のアルゼンチンなどに広まり、成熟され、やがてヨーロッパに逆輸入されました。パリのカフェで踊られていたステップが取り入れられてヨーロッパ風に形成された「コンチネンタルタンゴ」となりました。
タンゴ用のドレスは、赤や黒など、濃く、強いカラーを好まれる方が多いです。
また動きが速いためフロートを小さ目にしたり、外される方も多いです。
2-1-3. スローフォックストロット
「スロー」と呼ばれることが多いスローフォックストロットはその名の通りゆっくりとした4拍子の音楽で優雅に踊ります。
アメリカからフランスに渡り、パリのカフェで歩くように自然に踊るダンス「カッスルウォーク」がダンスの難しさに悩まされていた人々に受け入れられ、パリ中で流行。自然で軽やかな動きが狐のように見えて「フォックストロット」と呼ばれたそうです。
スロー用のドレスは、ワルツとタンゴほど強い傾向はなく、選んだ楽曲の世界観に合わせたドレスを選ばれる方が多いです。
2-1-4. クイックステップ
クイックステップは軽快で速いテンポの4拍子。
飛び跳ねるようにステップを次々に踏んでいくダンスです。
もともとは前述の「フォックストロット」から枝分かれした踊りです。アメリカのバンドが非常にテンポの速い「フォックストロット」を演奏したところ、従来の「フォックストロット」では踊ることができなかったため、新たに速いテンポのステップが生まれてきました。後に英国のダンス教師協会が「フォックストロット」を「スロー・フォックストロット」と「クイックステップ」に分類し、2つの種目に分かれました。
クイックステップ用のドレスは、明るいカラーが好まれると同時に、フリルなどの装飾で軽やかな動きを表現しやすいデザインが好まれる傾向にあります。
スカートもイブニングドレス的なAラインよりは、段々になったティアードスカートが人気です。
2-1-5. ヴェニーズワルツ
ヴェニーズワルツは日本では「ウィンナーワルツ」と呼ぶこともあります。速いテンポの3拍子で踊ります。
「ワルツ=円舞曲」と言うくらいですから、まさしく「くるくる回る」まわり続けるイメージのダンスです。
現在「ワルツ」と呼ばれているものの基礎となったステップです。
1814年、ナポレオン戦争の終結後にウィーン会議の舞踏晩餐会でこのワルツが踊られ、会議の終了後に各国に戻ったヨーロッパの代表者たちによってヨーロッパ中に広まったと言われています。
ヴェニーズワルツ用のドレスは、舞踏会をイメージした格調高く華やかなデザインやカラーが好まれます。
2-2.社交ダンスでラテンに分類される5種類
ここではラテン5種目をそれぞれご紹介します。
競技では5種目すべてを1着のラテンドレスで踊るのが一般的ですが、パーティーのデモンストレーションでは種目ごとに異なるラテンドレスをレンタルする方も多い世界です。それぞれの種目におすすめの衣装もあわせてご紹介します。
なおラテン種目にあわせた衣装選びを詳しく解説したこちらの記事もどうぞご覧ください。
2-2-1. ルンバ
ルンバは「キューバンルンバ」とも呼ばれるように、キューバの音楽で踊るのが基本です。
中でもテンポが遅くしっとりとした音楽で踊る特徴があります。
両足を鎖でつながれた黒人奴隷が遠くから聞こえる太鼓の音に合わせて踊ったのがルンバの起源と言われており、エモーショナルに踊られることが多いダンスです。
ルンバ用のドレスは、ラテン種目の中では最もスカート丈が長く、ゆったりとした動きを表現できる縦長デザインが好まれます。
2-2-2. チャチャチャ
チャチャチャは軽快で歯切れの良い、テンポが速い南米キューバの音楽で踊ります。
もともとはメキシコに伝わる民謡のリズムにヒントを得た「マンボ」の一種だったと言われています。
チャチャチャ用のドレスは、いかにもラテンダンス!といったようにスカート丈が短めで、フリル等の動きが良い装飾デザインが好まれます。
2-2-3. サンバ
サンバといえばブラジル。ブラジルの代表的な民族舞踏であり、大衆音楽です。弾むような南国のリズムが特徴です。
踊りとしては、有名なカーニバルの「サンバ」と社交ダンスの「サンバ」は異なっており、現在社交ダンスで「サンバ」と呼ばれているものは上流階級の人々が舞踏会で踊る室内用のサンバ「マシシ」をベースとして、庶民的な「サンバ」が融合したものという話です。
サンバ用のドレスは、チャチャチャと同様にスカートの動きが良いデザインが好まれます。またカラーも原色など明るめを選ぶ方が多くなります。
2-2-4. パソドブレ
パソドブレは闘牛士の入退場の行進曲。闘牛といえばスペインですが、現在のようなダンス形式になったのはフランスだと言われています。男性が闘牛士(マタドール)を、女性が牛かケープ(マタドールが操る布)を表現して踊ります。
パソドブレ用のドレスは、他のラテン種目用のドレスとは全く作りが異なっており、最初から「パソ用」としてデザインして作られています。闘牛のイメージということで赤や黒が定番であり、白など淡い・薄い色のパソ用ドレスはほとんど見られません。スカートは(スタンダードのように)丈も長く、闘牛士が操るケープのように手で持って振り回して踊れるように円周を大きくとった円形スカートになります。
パソドブレの衣装について詳しく解説したこちらの記事もぜひご覧ください。
2-2-5. ジャイブ
ジャイブはロックンロールの親戚のような、テンポの速い軽快な音楽で踊ります。
動きのスピードが速く運動量も多いため、特に難易度の高い踊りで、アマチュアの方が取り組むことは少ないダンスかもしれません。
世界のトップ選手が踊るジャイブは見ていて楽しいですし、凄い!といつも思います。
ジャイブ用のドレスはチャチャチャやサンバと共通していて、スカート丈は短めで膝下の脚の動きをアピールでき、軽やかに動くデザインが好まれます。
3.最近は踊られることが少ない社交ダンスの4種類について
前述の10種目はステップをある程度練習しなければ踊ることが難しい社交ダンスですが、「パーティーダンス」とも呼ばれる下記のダンスであれば、教わったその日から楽しむことができます。
競技会やパーティーのデモで踊られることはほぼなくなりましたが、比較的簡単なダンスのため、社交ダンスの入門種目として用いられることもあります。
3-1.ブルース
その名の通り、ブルースの音楽にあわせて踊ります。
男女の組み方はスタンダードダンスと同様に、身体の前側を接して踊ります。
3-2.スクエアルンバ
音楽は「キューバンルンバ」と同じものを使います。
組み方は男女が向かい合って組みますが、スタンダード種目のようにはボディーを接しません。
あるいは手を離して踊ることもあります。
3-3.マンボ
マンボもやはりキューバの音楽です。
踊りは男女が向かい合って立ち、相手の身体に触れることはありません。
3-4.ジルバ
音楽はジャイブと同じか、クイックステップのようなテンポが少し速いものが使用されます。
4.初心者におすすめな社交ダンスの種類
これから社交ダンスを始めることを検討中の方に、いくつかお話したいと思います。
4-1.パーティーダンスから始める
音楽にあわせて身体を動かすだけでも脳が活性化されるダンスはスポーツが苦手な方にもおすすめですが、
完全なダンス初心者の方がいきなりタンゴやサンバにチャレンジしようというのはハードルが高いかもしれません。
個人的には父親からジルバを習ったのがダンスの第一歩だったという経験から、社交ダンスを始めよう!と思った方でも最初はメジャーな10種目以外のパーティーダンスから入られるのが良いかもしれません。
ブルースやジルバのステップを最初に教わって、それから10種目のどれかにステップアップはいかがでしょうか。として映える髪型を探してみてください。
4-2.スタンダードか、ラテンかの選択
社交ダンスの10種目にチャレンジしようという場合、まずスタンダードかラテンかという選択があります。
日本ではスタンダード種目からダンスを始める方が多いと思います。
社交ダンスといえばワルツ、優雅にゆったりとダンスを踊ってみたい、というお気持ちの方が多いのかもしれません。
年齢が若い方であればラテンから始めよう!と思う方も多いかもしれません。音楽のテンポも速く、明るく軽快で、アクティブに踊りたい方にはラテン種目がおすすめです。
4-2-1. スタンダード種目から
スタンダード種目はリーダーとパートナーが組んで(身体を接して)踊るため、多少ステップを忘れてしまっても組んでいる相手(先生など)が上手な方であれば、踊りをリードしてもらえるため何となく踊れてしまうという特徴があります。
ただ、スタンダードを踊るために欠かせないホールドの(ペアが組んだ)姿勢が、そもそも初心者の方にはなかなか難しいです。また(夫婦で一緒に習おう、という場合は良いのですが)1人でレッスンに出かけた場合には、見知らぬ初対面の先生といきなり身体を密着させるという部分に多少の抵抗を感じる方もいらっしゃるだろうと思います。(私自身は何度レッスンに通っても、年がずっと上の男性の先生とくっついて踊ることにいつも抵抗を覚えました)
ちなみにスタンダード種目であればワルツから始める方が圧倒的に多いと思います。
4-2-2. ラテン種目から
ラテン種目は衣装もスタンダードよりは軽装に見えますし、ペアがしっかり組む形ではないため、初心者にも一見すると取り組みやすく思えるかもしれません。
が、ラテン種目はペア2名が離れて(接しないで)踊ることが多いため、スタンダード種目のようには動きをリードしてもらうことができず、きちんとステップを覚えて1人で踊れないとダンスになりません。
もちろん趣味で、あるいは運動のために、楽しく踊れれば良いということであればどの種目でも問題はないのですが、もしパーティーのデモンストレーションで皆様にお披露目したり、競技に出たりという目的に向かって練習されるのでしたら、ラテン種目はスタンダードよりもミスを取り繕うことが難しく、1人でしっかり踊れるように練習しないといけない!という覚悟が必要かもしれません・・・
ラテン種目の中では動きがゆっくりなルンバから始める方が多いかと思います。
4-3. 衣装の費用から
最後に、日本で最初のドレスメーカーとして一言アドバイスを付け加えるとするならば、もし本格的に競技に出たり頻繁にパーティーでデモを踊る、となった場合には、スタンダードの方が衣装に費用がかかることが多く、ラテンの方が出費は抑えられる傾向にあります。
スタンダードドレスはスカートが3枚・4枚仕立てで、数十メートルも生地を裁断して作るためにラテンドレスよりも原材料費がかかることが多いです。
もちろん最終的には衣装の価格はラインストーンや羽根などの高額な装飾資材によるところが大きいため、一概には言えません。
が、一般論として、男性の衣装もラテンよりはスタンダードの燕尾服の方が高額ですから、衣装の費用を比べるとラテンの方がスタンダードよりは出費が少ないと言える世界かと思います。
なお社交ダンスの衣装選びについてはこちらの記事にて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
5.まとめ
現在の社交ダンスは「スタンダード」と「ラテン」の2つのカテゴリーに分かれています。
スタンダードの5種目、ラテンの5種目、あわせて10種目が社交ダンスの種類として発展してきました。
ボールルームと呼ばれることもあるスタンダード種目は、ワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイックステップ、ヴェニーズワルツの5種目です。
スタンダードダンスの特徴は、男性と女性が向かい合って、お互いの身体の前面を接したまま組んで踊るところにあります。
ラテンダンスの5種目はルンバ、チャチャチャ、サンバ、パソドブレ、ジャイブとなっています。
これらのダンスでは男女が身体を接する場合もありますが、お互いの手は取り合っていても身体は離れて立って踊ることの多いダンスです。
音楽にあわせて身体を動かして踊る、そして男女が触れ合って踊るという社交ダンスは五感を刺激して脳の活性化につながります。
高齢になってから踊り始める方もたくさんいらっしゃいますし、80代・90代になっても華やかな世界で楽しく踊り続けているアマチュアダンサーが現実に数多くご来店されています。そのほとんどの方は、実年齢よりもはるかに(何十歳も)若く見られる方ばかりです。
年齢や体力で諦めることなく、自分なりの楽しみ方で続けることができるダンスの世界を、ぜひ味わい、楽しんでいただきたいと願います。
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ブログ監修者
川合 真桜子
(かわい まおこ)
ダンサー、オペラ歌手。 JDCプロフェッショナルラテンアメリカン元B級 EJBDFプロフェッショナルラテンアメリカンB級、プロフェッショナルスタンダードC級 東京音楽大学 声楽演奏家コース卒業。 同大学院修士課程オペラ研究領域修了。 東京二期会オペラ研修所予科特待生、本科特待生、本科修了時に奨励賞受賞、マスタークラス特待生。 これまでに「コジ・ファン・トゥッテ」よりデスピーナ役、「秘密の結婚」よりカロリーナ役、「魔笛」よりパパゲーナ役、「ドン・ジョヴァンニ(抜粋)」よりドンナ・アンナ役等を演じる。 2019年よりフジタのスタッフとしても就業中。